我々は食事の際、適量を噛み切り口の中に入れる。この動作の主役は「前歯」だが前歯だけではうまく適量を口に運ぶことはできない。パンのような固形物であれば問題はないが、みかんのような固形物など水分が含まれた食物は噛み切った時に、口の中から水分がこぼれる。これをこぼさないようにしているのが唇である。食物を噛み切る瞬間、多くの情報が脳に伝達され、とっさの判断で噛み切る量などを決めている。唇は、柔らかくて美味しそうなら多めの一口で、硬くて噛むのが疲れそうなら少なめの一口という具合に、これから噛むことを想定した振り分け作業を、人体の最初の扉で行っている。