通常強い痛みは2、3日で痛みが治まることがほとんどなので、強い痛みが続く場合はかかりつけの歯科医院を受診しましょう。
麻酔が切れた後の痛みの理由として
抜歯することによって、できた傷により感染や血流障害が起こり、痛みが出ることがあります。抜きやすい歯の抜歯(すぐに抜けた場合)では、組織を傷めないため、痛みを感じないこともありますが、抜けにくい歯の場合(抜くのに時間がかかった場合)は、歯肉をメスで切ることや、歯と骨の間を削ることで組織を傷めることもあるため、麻酔が切れた後に痛みが出ることもあります。骨を削ると抜歯後に腫れることもあります。抜歯中は麻酔が効いているため痛みを感じませんが、抜歯後麻酔が切れると徐々に痛みが出てくることがあります。
麻酔の量と効く時間
抜歯による麻酔で、麻酔が効いている時間は短い人で1時間~2時間程度。
長い人では4〜5時間程度です。
麻酔が効いている時間は、打つ麻酔の量や体質によっても変化します。
痛みの予防方法
麻酔が切れた後、痛みをなるべく感じないようにするためにも、抜歯前に痛み止めを服用することをおすすめします。
注意点について(感染予防のため抗生剤を服用してください)
抜歯手術は傷口が唾液に汚染されるため、感染を起こします。なぜなら、唾液の中には多くの細菌がいるからです。感染が起こるとまず自分の免疫力で抵抗しますが、炎症が予想以上に大きくなると、自分の免疫力では対処できなくなります。これにより痛みや腫れの症状がでます。なので抜歯をした際には必ずと言って良いほど抗生剤が処方されます。
痛みがひどくなった場合(重症化した場合)
抗生剤を変更したり、場合によっては点滴による抗生剤投与を行う場合があります。
感染による痛みの予防方法
重症化しないためにも免疫力が低い人や、糖尿病などの感染リスクが高い全身疾患を有している人は、抜歯前から抗生剤を予防投与し、抜歯することをおすすめします。
ドライソケットによる痛み
ドライソケットとは抜歯した後、血餅ができず、骨が露出してしまい、感染してしまう状態です。原因は何らかの原因(病気や薬)で「抜歯後に血の塊ができない」、「血の塊が取れてしまう」などによって起こります。
ドライソケットの予防方法
血の塊が取れないように抜歯後はたとえ口の中が血生くさくても、強いうがいをしないこと、傷口がある側で硬いものを咬まないことが大切になってきます。ドライソケットのよくある症状として、「抜歯後数日してから痛みが強く出てくる」、「腫れたりや赤くなっていない」(炎症の様子がない)、「痛みが長引く」このような症状があればドライソケットの可能性があります。
ドライソケットの治療としては、無くなってしまった血の塊の代わりとなるもので傷を覆い、抗生剤を処方して経過を見ます。
神経障害性疼痛
抜歯時に何らかの原因で神経が障害を受けることで、歯だけでなく、歯ぐきや舌をはじめとするお口全体に痛みが生じる可能性があります。特に下顎の親知らずの抜歯の後に神経障害性疼痛は起こりやすいです。日本人の顎は欧米人に比べて小さいため下顎の親知らずの根の先端が神経に接することが多いからです。
神経障害疼痛の痛みの特徴
「焼けるような痛み」「電気が走るような痛み」「麻酔がずっと効いているような感じ」など
治療法
・薬物治療
ビタミン剤、ステロイド、ATP製剤、漢方薬などを使用
・ブロック注射
星状神経節をブロックすることによって症状の緩和を目指す治療法
・神経縫合手術
神経が完全に断裂している場合などに適応
神経障害性疼痛の発生の確率を低くするためにも、抜歯前にCT撮影を行い、3次元的に歯の根と神経の位置を把握して、抜歯することをおすすめします。