今年の1月私の父は他界した。
時間の経過と共に父の存在は忘れ去られていく。
人間には三つの死があるという、
一度目は心臓が止まった時、
二度目は埋葬や火葬をされた時、
三度目は人々がその人のことを忘れてしまった時
火葬の時、後ろの方から「お父さん、さようなら」
と叫ばれた言葉が私の耳に残っている。
肉体から骨へ、これで永遠に会えなくなってしまう。
しかし生きている人たちの中に、
自分のことを覚えている人が誰もいなくなったとき、
人は永遠に死ぬそうだ。
逆に言えば、私たちが語り継ぎ、
記憶にとどめていれば永遠に生き続ける。
だから何百年も前に亡くなられた「著名人たち」は今も生き続けているのだと思う。
父が残してくれた「わが家の宝」、それは「戦う技工士」この一冊の本である。
私が死ぬまで父は私の中で生き続け、
苦境に立たされた時、私はこの本を何度も読み返しているだろう。
以下2016年11月28日朝日新聞に掲載された記事
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https://www.asahi.com/articles/DA3S12679626.html